連続ボドゲ小説 〜カタンの開拓者たち〜 2

連続ボドゲ小説とは、知られたボードゲームの設定を膨らませて文章化したオリジナルストーリーである。

3.会議

カタン島は広い。村の数も増えて、まとまった人数のいる地区は8つを数える。

僕は各村に使者を送り、地区の代表に集まってもらうことにした。

本国からの決定が下るまでの間、島の開拓について話す必要があるからだ。

だが、僕はすぐに現実の厳しさを知ることになった。各代表が、まず半数しか集まらなかった。

有力なノルダーナ地区の代表からは、手紙が1枚届いただけだった。

「親愛なるループレヒト殿。

あなたに何も恨みはないが、亡くなったあなたの父は島の交易を独占し、富をわれわれにもたらさなかった。

我々は数ヶ月といえど、あなたの指揮の元で過ごすことはない。我々は我々の力で開拓を続けていく」

集落の中央にある集会所に、半数程度集まってくれた各代表との会談もうまく進んだとは言えなかった。

これを機に本国に帰りたいという者。

数ヶ月の仮のリーダーを、自分がやると言う者。

父の財産をすべて吐き出せと迫る者。

議論は紛糾した。皆、自己の利益ばかり主張し、平行線のままだった。

ひとまず一日、頭を冷やそうと僕は宣言した。

僕は自室に戻ると、ベッドに横になって天井を仰いだ。

父は、実は偉大だったのではないか。

あのような身勝手な連中を、23年間取りまとめていたのだ。僕がいかに青二才であるかを、思い知った。

父は指導者として任命されていたが、貴族や王家ではない。僕は後継として指導する立場ではない。

しかも、父は恨みを買っていた。その息子である僕には、なおさら資格がないだろう。

僕はすぐに決断することができた。

次の日、集会所に集まった各村の代表者たちに僕は宣誓した。

「これからは各地区で独自にやっていこう。独自に交易し、独自に開拓を進めていけばいい。僕たちと一緒にやっていきたい村があれば、一緒に頑張ろう」

反対する者はいなかった。

そしてリット地区の代表だけは、僕に従うと言ってきた。

「リット地区は開墾したばかりで、村人も少ない。まだ独立は難しいし、力仕事に専念したい。とりまとめはループレヒト殿の指揮下に入ろうと思う」

それ以外の地区の代表者は、思い思いに独立していくことにしたようだ。やはり交易の権利を独占されたくないという反発が強い。

二日目の話し合いはこうしてあっさりと終了した。

4.発展を目指して

その日の夜は屋敷でくつろぐことにした。妹と夕食を取りながら、僕は集会所での話をした。イリーナは僕の決定を意外に思ったようだった。

「島の皆が、小さく分裂して、大丈夫なのかしら」

「カタンはそんなに小さくないよ。森を切り拓けば人はどんどん増える」

「ループレヒト兄様は楽観的でいらっしゃるのね」

「村の近くにある森を拓き、赤土でレンガを作ろう。そうして道を拓くんだ。立派な道ができれば、移動が楽になる。海までつなごう。そして立派な港を作るんだ」

僕はその計画を次の日から実行に移した。

危険で凸凹の街道を、レンガが敷き詰められたら通りやすい路にする。

幸いにも、村の近くに広がる森林の木材は豊富だった。

港を作ろうという僕の方針に、地区の皆んなは文句を言うどころか、協力を進んで申し出てくれた。

僕とは袂を分かったヴィルヘルム地区は、大きな小麦畑を持ち、羊の放牧を行なっている。僕たちは彼らに木材とレンガを提供する代わりに、食料を得た。

彼らは食料の生産に長けていたからか、積極的に開拓していく気配がない。

僕たちの土地は食料が取れにくいので、早く港を得て海の外との交易を行う必要があった。その焦りは、僕の計画を推進させる要因になった。

半年にすら及ばない期間で僕たちの村は、海へと街道をつないだ。そして、豊富な木材とレンガを積める船を作った。

半年経ってもまだ、本国からの使者が来ないことも都合が良かった。

「シーフェ号。発進だ」

帆を目一杯張った、カタン島最大の帆船は地区の希望を積んで海原に漕ぎ出していった。

船には妹のイリーナが、乗り込んでいる。彼女は島の外が観たくて仕方なかったようだった。生まれた時からカタン島以外を知らないのは、可哀想だと思い僕は許可をした。