連続ボドゲ小説 〜カタンの開拓者たち〜 3

連続ボドゲ小説とは、まいたーん!企画班の所長によるよく聞くボードゲームを文章化した執筆活動である。

5.賊

イリーナを送った交易は大成功だった。長い船旅だったが、彼女たちが2カ月後に戻ってきた時には大量の小麦や干し肉だけでなく、胡椒や、カタン島にはいない馬まで連れてきた。

島に残った僕たちも遊んでいたわけではなく、さらに開墾を進めて石切場を開くことができた。

石切場からは石だけでなく、花崗岩など建築にも使える良い資材が撮れるという幸運にも恵まれた。

だが、僕たちの開拓計画はすべてが順調ではなかった。

「ループレヒト。大変だ」

僕の家は木造建築から、レンガ製へと建て替わっていた。

火事になりにくく、丈夫だ。

僕は昼食後のお茶を取っていたが、ゆったりとした時間は警備兵のオスヴァルドによって、破壊された。

「落ち着けよ。今、我々の石切場が賊に占拠された。働いていた連中はすぐに逃げ出したが….」

「賊だと? この島は元々無人島だ。まさか原住民でもいたというのか?」

「いや、賊はどうやら海の外から来た連中らしい」

「どういうことだ?」

「イリーナの交易は確かに成功している。だが、外からこの島によその連中が無断で入ってこれるようになってきた。とも言えるわけだ」

「……島の外で暮らせなくなった悪人とか、そういう輩が?」

「おそらくな。奴らは俺たちの知らない武器を使う。遠くから石を投げる道具や、遠くからでも強い威力で射てる弓だ」

オスヴァルドは顔をしかめた。

武装化している。ということだ。

「残念だが、今は俺たちでは勝てない」

僕は決断が早い方だ。すぐに港に引っ越したイリーナに手紙を書いた。

交易先の街で、最新型の武器を集めるように、と。

僕たちは、石の槍と革の鎧しか持たない。今こそ、より武装された新しい騎士団が必要だった。

6.騎士

イリーナが武器を調達し、オスヴァルドが兵を組織化することに要した時間は2カ月に及んだ。

その間、卑しい賊どもは黙っていない。だが、彼らの数が少なかったことは幸いした。10人いるかいないか程度の人数だったのだ。

武器が弱く、訓練もされていないカタンの住民でも、数倍の男たちがいる村への侵入は防ぐことができるだろう。そう踏んだのか、賊は村への侵入はしてこなかった。

だが、石切場から追い出すまでには至らない。オスヴァルドが話し合いのために赴いた際、返す代わりに金品と女たちを要求してきた。無論、話にならなかった。

賊は石切場をアジトにし、島の畑や放牧場から作物や家畜を盗み続けた。

そうして、苦労して開いた石切場からは、何も採れない状態になってしまっている。

そんな事態も、オスヴァルドからの報告で一転する。

「ループレヒト。20人の村の男たちで武装化、組織化を成したぞ。俺も正式な訓練など受けてはいないが、俺の親父は本国で兵士だったからな。色々教えてもらった。ぐずぐずせずに、賊を追い払いに行くぞ」

僕もこの時を待っていた。

反撃の狼煙が上がる。

鋭利に磨かれた鉄製の先端が光っている。島の外から10本購入した槍と、しなやかに湾曲する高性能の弓。

団員たちは普段、畑仕事や林業に携わる若者たちだ。

カタン島では初めてとなる騎士団が誕生した。

初代騎士団長に就任したばかりのオスヴァルドと共に、僕は賊が占拠する石切場に急いだ。曇り空。

騎士団を後ろに連れ、鉄の鎧で身を固めたオスヴァルドが石切場の中へと堂々と入っていく。周囲には隠れているが恐らく賊が目を光らせているに違いない。

「おい! 賊が調子に乗って無法を働きすぎたな。大人しく出て行け、さもないと命はないぞ」

オスヴァルドの宣誓。だが、賊の答えは放たれた矢じりだった。

矢は、建物の陰から飛来し、オスヴァルドの鎧によって弾かれた。鉄製の鎧に、賊の矢は効かないのだ。

その矢が、始まりの合図となった。武装した僕たちの騎士団は、隠れている賊を見つけ出し、槍で突いた。一方的に騎士団は賊を追い回す。

勝敗はあっという間に決した。

数刻後、オスヴァルドは賊の遺体を2つ石切場の中央に引きずってきた。槍で突かれ、即死だったようだ。

「残りは逃げたようだ」

「逃げられたか。……また悪さをするかもな」

「石切場の再開には支障ないだろう。島にはまだ他にも村があるし、わざわざここに殺されに戻ってくるとは思えない」

「お手柄だ」

僕は騎士団の初陣を労った。その日はささやかながら、勝利の宴を村で開いた。