連続ボドゲ小説

連続ボドゲ小説 〜カタンの開拓者たち〜 8

本国から未開の無人島開拓を命じられた僕の父親。僕の母親は島暮らしを拒否し、僕と生まれたてのイリーナ、そして移植者たちを連れてカタン島で生活を始めた。父は当然だと思うが、忙しい立場にあった。僕とイリーナの世話は、移住者の内の1人の女性に任せた。彼女は無口で無表情だったが、手際よく作業をこなせていた。あの夜。父が殺された夜、犯人は見つからなかった。足跡なども発見できなかったし、刃物など

連続ボドゲ小説 〜カタンの開拓者たち〜 7

さらに2年の時が過ぎた。カタン島の大半はアタナージウス派の土地になっていたが、ループレヒト派の地区は狭いながらも著しい発展を遂げた。エーレンフリート市場の賑わいはカタン島の顔としてアタナージウス派の住民達も売買に参加している。エーレンフリートはこの1年以内に議会、裁判所、学校などが誕生していた。マヌエラからの知識に加えて、島の外から研究者、技術者、建築家などを迎えた。騎士団も拡充し

連続ボドゲ小説 〜カタンの開拓者たち〜 6

僕は自宅のある村に戻ると、名前のないこの地にエーレンフリートという名をつけることにした。これは僕の祖父の名だ。会ったことはないが、死んだ父から聞いた記憶がある。どういう人物かもよくわからないが、とにかくそれらしい名前があればなんでもよかった。本を集めた図書館や、議会などは突然作れないが、市場だったら人さえどんどん集めれば作れるかも知れない。エーレンフリートでは、何か陳列して売っているような

連続ボドゲ小説 〜カタンの開拓者たち〜 5

僕たち......ループレヒト派に並んで最も栄えているミドラ地区との小競り合いは避けたかったが、マヌエラの上陸から1年後にはその対立は避け難いものになってきていた。ミドラ地区の住民は数こそ多くないが、小麦の生産や良質な土の採掘が豊富で、街道の整備を熱心に行い新しい村を作り続けている。僕たちは集落の数こそ少ないが、人口を集中させて都市化を図っており、方向性には違いがあったが、その為か一度は追

連続ボドゲ小説 〜カタンの開拓者たち〜 4

父の死から1年。カタン島の諸勢力は4つに分かれていた。本国からの使者が海を越えて我が家に姿を現したのは、ちょうど父の一周忌を終えた次の日だった。「遅れて申し訳ない。正直、内情が混乱しておりカタン島の開拓についての事案は後回しになっていた。遅ればせながら、本国の決定を伝える」使者は女性だった。マヌエラと名乗った彼女はまだ若く、僕と同じ程度の年齢に見えた。ブロンドの髪が美しく、とても辺境の開拓

連続ボドゲ小説 〜カタンの開拓者たち〜 3

イリーナを送った交易は大成功だった。長い船旅だったが、彼女たちが2カ月後に戻ってきた時には大量の小麦や干し肉だけでなく、胡椒や、カタン島にはいない馬まで連れてきた。島に残った僕たちも遊んでいたわけではなく、さらに開墾を進めて石切場を開くことができた。石切場からは石だけでなく、花崗岩など建築にも使える良い資材が撮れるという幸運にも恵まれた。だが、僕たちの開拓計画はすべてが順調ではなかった

連続ボドゲ小説 〜カタンの開拓者たち〜 2

物別れ会議カタン島は広い。村の数も増えて、まとまった人数のいる地区は8つを数える。僕は各村に使者を送り、地区の代表に集まってもらうことにした。本国からの決定が下るまでの間、島の開拓について話す必要があるからだ。だが、僕はすぐに現実の厳しさを知ることになった。各代表が、まず半数強しか集まらなかった。有力なノルダーナ地区の代表からは、手紙が1枚届いただけだった。

連続ボドゲ小説 〜カタンの開拓者たち〜 1

連続ボドゲ小説は、まいたーん!企画班である「所長」がボードゲームの設定を妄想して文章化したものです。カタンの開拓者たちイントロダクション僕たちが辿り着いた島は、さまざまな地形が織りなす自然豊かで、美しい場所だった。長い時間をかけ、大海原を渡ってやってきた開拓者たちの楽園になるはずだった。入植は信じられないほど困難な作業の連続だった。岩を切り崩し、